法人での株式投資のメリットは、損益通算です。
個人名義での株式投資の損益は、FX での所得や不動産所得と合算できません。
それに対し、法人名義での株式投資では、事業として行っている他の所得と合算できますので、赤字の事業があれば節税できる可能性があります。
なお、損益通算で相殺しきれなかった損失については、最大で 7年間、法人の繰越欠損金として繰り越しできます。
デメリットとしては、所得に対する税負担が個人よりも重くなる可能性が大きいことが挙げられます。
個人名義での株式投資による譲渡益に対する課税は、申告分離課税で、税率は 20.315%(所得税 15%、復興特別所得税 0.315%、住民税 5%)です。
それに対し、法人名義での株式投資の場合、税率は法人の実効税率となります。
2017年8月28日現在、法人税の基本税率は 23.4%ですが、資本金 1億円以下の法人の場合、年800万円以下の所得金額については 15%、800万円超の所得金額については 23.4%となります。
法人税のことだけを考えるなら、法人の方が個人よりも得になる場合も多いのですが、現実には法人税の他に法人事業税と法人住民税(法人税割)があるため、大抵の場合、法人の方が税負担が重くなります。
法人住民税(均等割)については、所得に関係ないので、ここでは考慮しません。
なお、個人名義の株式投資では、特定口座を利用すれば証券会社が「年間取引報告書」を作ってくれるので確定申告が楽にできます。
法人名義の場合、特定口座を利用できないため、損益を計算する手間が必要で、これもデメリットといえます。
また、法人が消費税の課税業者の場合、課税売上割合を計算する際、株の譲渡額の 5%を非課税売上に入れる必要があります。
課税売上割合が 95%を割り込む場合、消費税の納税額が増える可能性があります。
筆者の場合、現時点では、法人名義で取引することでのメリットよりもデメリットの方が大きそうです。
でも、配当金目的で長期保有するというスタンスなら、値がさ株を法人名義で買うことは有力と思われます。
SBI証券あたりで法人口座を開設しておこうと思う、今日この頃。